別府社長の手帖20

「原稿一枚分の詩」



文章 別府倫太郎 2015年2月27日更新



「別府社長の手帖」今回はぼくの書いた詩をお送りします。

原稿用紙一枚に書いたその詩をぜひ見ていただければと思います。




















「闇の存在」 別府倫太郎


夜、ぼくはベットにあがり本を読む

雪が降り、月が上がる

闇の呼吸にぼくは身をひそめ

布団に身をかがめる

一つ一つの動きを鮮明に受けながら

一つ一つの雪を数えながら

ぼくはひそんでいる

夜、暗闇になることに意味があるのか

ぼくは必死に闇を見る

むなしくなり、かなしくなり、鬱々とする。

意味に疑問を抱きながらその今に自分を見る。

意味ではなく存在がある。

夜の闇がある。

ぼくはどこまでも闇に美を見た。





















「視線」

ぼくの視線はどこにあるのか

その視線をどこに向ければいいのか

あっちに向ければ遠ざけられる

こっちに向ければ隠される

どこに視線を向ければいいのだろう

どこにどこにどこに

そうやって、外を見ると鏡に写った自分がいた。

ぼくは自分に目線を向けた。

すると、鏡のぼくは何も動じなかった。

さけなかった。隠さなかった。

目線を内に内にぼくはむけた。

そこには、一つの花があった。

動かなくて、避けなくて、隠さない一つの花があった。

目線はそこに向いていた。





















「悲しみ」

自分はどこにあるのだろうか

わからなくなって、かなしむ

自分とは何なんだろうか

わからなくなって、かなしむ

しかし、悲しんでいるのは自分なのだ。

ただ、その感情だけがぼくを伝える。

「悲しい」が一番の事実となって、ぼくを伝える。こだまする。

本当の「証」として、ぼくにとって悲しみがある。

それはとっても、幸せなのだとぼくは知った。





















「音を読むように」

音を読むようにぼくは生きていた。

一音を自分の身とし 一音を自分のこととし

一音から自分を見る

一音が今を伝え 一音がこだまする

音を読むように自分を目の前にする

音を読むように

それだけを見る

ぼくの中にその思いは広がった

ぼくの中にその思いは深まった

一音がぼくを伝えていく


































(第20回「原稿一枚分の詩」終わり)







別府社長の手帖いままでのタイトル

第1回「そこに居る光」2013-7-21更新

第2回「今を得るだけでは得られないもの」2013-7-28更新

第3回「生きるって何?死って何?病気とは何?」2013-8-7更新

第4回「見えないところに本質がある」2013-9-22更新

第5回「ボーっとすること」2014-9-22更新

第6回「カメラのこと」2014-5-31更新

第7回「ペロペロ、ソフトクリーム」2014-5-31更新

第8回「みそ汁、するする」2014-6-16更新

第9回「限界とぼく」2014-7-5更新

第10回「息子のまなざし」2014-7-13更新

第11回「分からないことの存在」2014-9-17更新

第12回「聞くと書く」2014-9-19更新

第13回「いじめという意見」2014-9-19更新

第14回「小さな火のなかで」2014-9-30更新

第15回「一番目の事実」2014-10-2更新

第16回「毎週金曜日」2015-1-30更新

第17回「ひきこもり計画」2015-2-6更新

第18回「寒ブリと焼き芋」2015-2-13更新

第19回「倫太郎のゆめ」2015-2-20更新

第20回「原稿一枚分の詩」2015-2-27更新

第21回「ライフ・イズ・ビューティフル」2015-3-6更新

第22回「体の反応」2015-3-20更新

第23回「石とぼく」2015-3-27更新

第24回「蚊に刺されて」2015-6-2更新

第25回「最後に」2015-8-9更新




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