別府新聞社は新潟の十日町市という所にあります。

米どころでもあり、豪雪地帯としても知られている新潟十日町。

その十日町にも冬が来ようとしています。

ミカンを食べすぎる冬。

布団から離れられない朝。

スルメをストーブの上で焼くお茶の時間。

そんな雪国のくらしが来ようとしています。

雪国のくらしは不思議で面白いです。

独特の空気感があります。

雪国の人は冬と繋がっていて雪に溶けちゃったんじゃないかと思うほどです。

ここでは江戸時代に発行された「北越雪譜」(これも雪国のくらしについて書いた本)を片手に

そんな雪国のくらしを書いていきます。

(もちろんミカンを食べすぎて手が黄色くなったとかも・・・)





▲ここが新潟県十日町市。







雪国くらしの手帖 きせつ特集

雪国の正月

正月は皆さん、いかが過ごしたでしょうか?

僕は正月はボーっとしていたので、雪国のくらしを書くのに必須ともいえる

正月をまだ書けていないのでした。

なので!まとめて正月を特集します。

では、雪国の正月をどうぞ。




30日の正月かざり


正月はまず、準備から。

しかし、正月飾りをする日は「思い立ったが吉日」ではありません。

する日にも色々あるようですが、僕の家では12月30日にします。

それはなぜかというと・・・

29日は「二重苦」。

31日は「一夜飾り」といって神様を迎えるのに一晩だけ飾るだけでは

失礼にあたります。なので30日にするのです。

では、早速、正月飾りをしましょう。

まず、最初に行うのは正月を迎えるための生け花。

花を生けるのは自称(?)、華道家のばあちゃん。



大胆な生け方で僕たちを魅了(?)していきます。

ちなみに生けている花は5種類。 若松・菊(白・黄色)・テッポウユリ

カーネーション・名前が分からない紫の花です。

そして、その花で出来た生け花はこんな感じ。



この生け花を床の間に飾り、生け花の準備は終わり。

次にやるのは神様をお迎えするために掛け軸を飾ること。





最初に飾るのは、(僕が見るかぎり)「年徳三柱大神」と書かれた掛け軸。

年徳大神とは年神様ですが、三柱大神とは何なのか?

少し検索してみました。

そしたら、ヒットした神社がありました。

鹿児島にある「市来神社」です。

その市来神社は

伊邪那岐大神=森羅万象を創造された神様

速玉之男神=霊力を与えてくださる神様

事解之男神=悪霊をはらってくださる神様

この三つを合わせた三柱の神、「熊野三神」を祀っているそうです。

そして、奇しくも市来神社は年神さまを祀っているのだとか。

なので、この掛け軸を貰ったのは そこに行った時なのか、

神社の人が旅をしてて、家に泊まった時に貰ったのか、それとも?・・・

いまいち分かりません。

まぁ、それは永遠の謎にしておくとして・・・

「三柱大神」について詳しい方がいたら別府新聞のホーム画面に

掲載してあるツイッター・フェイスブックに教えて下さればと思います。

あ、そういえば募集のコーナーじゃなっかたですね・・・(笑)

ついつい熱くなってしまって書いてしまいました。

では、本題に戻りましょう。


さて、年徳三柱大神さまの掛け軸を掛けた後は

七福神さまと天照大神さまの掛け軸を飾ります。



そして、もう一つ、神様をお迎えするのにすることがあります。

それは神棚のお札を張り替えること。





大国主大神さまと西宮大神宮さ ま、天照大神宮さまの お札を張り替えます。

だけど、その前にまた、神さまのことを知りたくなった僕。

まずは知っているところから思い出します。

「大国主大神さま」は出雲大社、「天照大神さま」は伊勢神宮に祀られていますよね。

少しですが、知っています。

しかし、「西宮大神さまとは?」と無知な僕は思いました。

そして、検索をしてみた所、えびす様の総本社「西宮神社」のことだと分かりました。

えびす様ということですね。なるほど。

さらに!ここ十日町市にも、えびす様を祀ってある「西宮神社」があるみたいですよ。

今度、行きますので、その時に雪国くらしの手帖で詳しく書きます。

さて、本題にまた戻りますが、西宮大神宮さま、大国主大神さま、天照大神さまのお札を張りかえます。

ちなみにこのお札、毎年、神社から配られるそうです。

雪国では神さまの信仰が根強く、各家庭に立派な神棚があること、僕はこういうことに安心します。

一応、言っておきますが「伝統」とかいうものじゃないですよ。

僕は何となく「雪国の信仰」に惹かれるのです。

ちなみに信仰について面白いことがあります。これです。



これ、なんだと思います?

正解は「魚」です。そして魚のイメージがある神さまと言えば・・・

「えびす様」ですよね。いつも釣り針をもち鯛を釣っています。

これは、その魚です。

こんなふうに色々な信仰は、ちらほらと色々なところにあるものですよね。。

これで正月の準備は終わりですが

明日(大晦日)でもそんなことを知れたらいいです。



大晦日

そして、いよいよ迎えた大晦日。

只今の時刻は夕飯時です。

では、早速!年越しそばを食べ・・・ません。

その前に、一年の無事を感謝し新たな年を迎えるために

床の間、神棚・・・色々なところに参ります。



そして、忘れてはいけないのは、台所の神さま「竈神(かまどがみ)」。

 

これでまた来年も美味しい食事が出来ますね。

次に向かうのは農業をするための作業場。僕の家は農家で、作業場にあるトラクターに参ります。



これは何の神様?トラクターの神様? 

まぁ、そんなことはさておき、全部、参ったのでいよいよ食事です!

食事のメインはやっぱり、これ!「そば」です。



もう、ご存知かもしれませんが、十日町市周辺は、そばが有名。

だけど、一言に「そば」と言っても色々あり、僕の家は

2種類の、そばを頼みました。

そして、2種類のそばを食べ比べ、こっちの方が「うまい」と言っているわけです。

さて、そんな、そばの横に旨そうなやつがいます。





前者は「七福なます」。後者は「ばあちゃんの煮物」です。

他にも、いっぱい旨そうなやつが、いるのですが

紹介しきれないので、とにかく乾杯しましょう。

乾杯を担当するのは午年の人。

ちなみに僕も午年なので僕の音頭で「乾杯!」





そして、乾杯から食べて、しゃべり・・・



こんな時間に!来年まで、後7分です!

なので、これから神社に向かいます!

え?初詣に行くのに気が早すぎるって?

いえいえ。そうじゃないんです。

ここらへんでは、「2年参り」と言うものがあるのです。

2年参りとは2013年と2014年を神社で過ごし

2回参ることをいいます。

あ、そんなこと言っているうちに神社に着きました。



まずは、お参りします。パンパン。







そして、お参りしている時に2014年になりました。

だけど、いきなり2014年になってしまいあんまり実感がないです。

ま、とにかく実感がなくとも2014年になった今。

神社に参拝しようと近所の人たちが集まってきました。

そして、神社のなかのこたつに潜りお茶やお酒を飲みます。

なんか、こんなに、のんびりで良いんだぁと新年早々、思いました。



そして僕は神社から家へ帰ります。

その、帰り「星」を見ました。

その「星」は上ではなく下にあった星です。

さぁ?なぞなぞクイズなんでしょう?

ではなく!本当に星を見たのです。

それは「雪の上」です。



うっとり見とれてしまいました。

雪国からの天からの贈り物ですね。(誰かの言葉の真似です・・・)

そして、それから家に帰ったのは午前12時過ぎ。

もう、良い子が寝る時間はとっくに過ぎましたね。

僕は悪い子になってしまいました!(笑)

ま、もともと悪い子なのですけれど。

でも、本当に寝ます。

ちなみに、この続き元旦のことは雪国くらしの手帖で次回に書きますので

お楽しみに!では、おやすみなさい。(別府倫太郎)

(雪国の正月その1 終わり)



雪国くらしの手帖いままでのタイトル

その1 「えびす講の巻」 2013-11-21更新

その2 「はなちゃん登場の巻」 2013-11-22更新

その3 「ばあちゃんのこうこの巻」 2013-11-23更新

その4 「塩沢宿の巻」 2013-11-27更新

その5 「雪国の過ごし方」 2013-12-22更新

その6 「雪の未来」 2013-12-22更新

その7 「雪国の正月その1」 2014-2-2更新

その8 「雪国の正月その2 どんど焼き」 2014-2-11更新

その9 「雪国の正月その3 鳥追い」 2014-2-15更新

その10「雪国の正月その4 むこ投げ・墨塗り」 2014-3-15更新

その11「団子まきの巻」 2014-3-21更新

その12「野沢菜漬けの巻」 2014-11-11更新

その13「お手玉」 2014-12-31更新


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