別府新聞社は新潟の十日町市という所にあります。

米どころでもあり、豪雪地帯としても知られている新潟十日町。

その十日町にも冬が来ようとしています。

ミカンを食べすぎる冬。

布団から離れられない朝。

スルメをストーブの上で焼くお茶の時間。

そんな雪国のくらしが来ようとしています。

雪国のくらしは不思議で面白いです。

独特の空気感があります。

雪国の人は冬と繋がっていて雪に溶けちゃったんじゃないかと思うほどです。

ここでは江戸時代に発行された「北越雪譜」(これも雪国のくらしについて書いた本)を片手に

そんな雪国のくらしを書いていきます。

(もちろんミカンを食べすぎて手が黄色くなったとかも・・・)





▲ここが新潟県十日町市。






新潟県十日町市

12月24日10時現在の情報 (別府新聞社本社前の情報)

外気温 2.6℃ 積雪量10cm



雪国くらしの手帖
「その5 雪国今昔ものがたり第一話」

雪国くらしの手帖の番外編コーナー「雪国今昔ものがたり」。

その名の通り新潟県十日町市を中心に色んな人に雪にまつわる話を聞いていきます。

第一話は僕と仲良くさせてもらってる骨董品店主の話です。

ちなみに骨董品店主さんの話が面白くて割愛できなく第2話連続でやる事にしました。

ですので今日は第一話、明日は第二話となります。

ではどうぞ。



「雪国今昔ものがたり第一話 雪国の過ごし方」

雪はとにかく大変。楽しいのはスキーくらい。

40年くらい前は雪が7mも積もったりして道路はそのまま。

カンジキ(わらで作った雪の上を歩くための民具。わらじ(靴)の下に着用。)を

履いて歩いていた。そのカンジキで雪の上にのると遠くに信濃川が見えたり・・・

後は雪の上にバスが走っていたりもした。

どういう事かというとガッチンガッチンに固めた2mくらいの雪を道路みたいにして

その上をバスが走っているというわけ。雪の上なのでバスがスリップして事故もあった。

その雪の道路を3月くらいになると「雪割り」といってその名の通り雪を割る。

でもその雪の道路はコンクリートみたいに固く今みたいに

ドドドドドとする機械もなくブルトーザーでガッチャンガッチャンと壊していた。

そんな風にここらへん(十日町市・隣町の津南町の豪雪地帯)は雪が

すごいので屋根の除雪作業の事を「雪掘り」と言う。ちなみに江戸時代に

越後(新潟)の冬の事を書いた「北越雪譜 鈴木牧之著」にもこんな風に出てくる。

「一度降れば一度掃う。是を里言葉に雪掘りという。

土を掘るがごとくするゆえにかくいう也。」

普通は「雪おろし」と言うが、北越雪譜でも書いてあった通り雪が多すぎて

「掘る」事しかできないので雪を掘るしかない。

その掘った雪は空き地なんかに高く積み上げていく。

だから雪の塔がそこらへんにいっぱい。

つまりそのぐらい雪が降っているという事。

先ほど、言った事もそうだが雪が凄くても過ごせたのは

暖房がなくても「備えられた」から。

今よりも昔の方が備えがあったと思う。

結局、今はブルトーザーで道路はいつも通れる、

消雪パイプがある状態に慣れちゃうと備えがなくなる。

そうなると大雪の時、車が動かなかったり外に出れなくなったりすると

異常事態となるわけです。だから大雪になるかもしれないという事を

頭に置きながら、そうなったらどうするかというのも本当は必要なんです。

そうやって雪に対応していく事を考える。

そして備える。これが雪国の過ごし方かもしれません。



雪国くらしの手帖いままでのタイトル

その1 「えびす講の巻」 2013-11-21更新

その2 「はなちゃん登場の巻」 2013-11-22更新

その3 「ばあちゃんのこうこの巻」 2013-11-23更新

その4 「塩沢宿の巻」 2013-11-27更新

その5 「雪国の過ごし方」 2013-12-22更新

その6 「雪の未来」 2013-12-22更新

その7 「雪国の正月その1」 2014-2-2更新

その8 「雪国の正月その2 どんど焼き」 2014-2-11更新

その9 「雪国の正月その3 鳥追い」 2014-2-15更新

その10「雪国の正月その4 むこ投げ・墨塗り」 2014-3-15更新

その11「団子まきの巻」 2014-3-21更新

その12「野沢菜漬けの巻」 2014-11-11更新

その13「お手玉」 2014-12-31更新


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