別府新聞社は新潟の十日町市という所にあります。
米どころでもあり、豪雪地帯としても知られている新潟十日町。
その十日町にも冬が来ようとしています。
ミカンを食べすぎる冬。
布団から離れられない朝。
スルメをストーブの上で焼くお茶の時間。
そんな雪国のくらしが来ようとしています。
雪国のくらしは不思議で面白いです。
独特の空気感があります。
雪国の人は冬と繋がっていて雪に溶けちゃったんじゃないかと思うほどです。
ここでは江戸時代に発行された「北越雪譜」(これも雪国のくらしについて書いた本)を片手に
そんな雪国のくらしを書いていきます。
(もちろんミカンを食べすぎて手が黄色くなったとかも・・・)
▲ここが新潟県十日町市。
新潟県十日町市
3月21日14時現在の情報 (別府新聞社本社前の情報)
外気温 1.1℃ 積雪量110cm
雪国くらしの手帖 その11
団子まき
「花より団子・・・」そんな言葉が聞こえてくる季節になってきましたね!
今日の雪国くらしの手帖は、その「団子」にまつまる行事を紹介します。
その名も「団子まき」です。
「団子まき」というのは、その名の通り、「団子」を「まく」という行事で、
ここ新潟県では、3月15日に行われます。
▲団子まきの様子
しかし、関東とか、他の県では、2月に行われるそうです。
なぜ新潟だけ、3月なのか?その理由、分かりますか?
実は、雪深いから、一か月遅れになったんです。
まぁ、さすがに今は、2月にやっても大丈夫ですが、
昔は、冬の間、(2月は特に)「引きこもり」状態だったので、
出来なかったんでしょうね。
今、ニュースでは、「引きこもり年々、増加」と日夜、報道されていますが、
実は、昔の雪国の方が「引きこもり」が、いっぱいいたんでしょうね。(笑)
ちなみに、僕は「引きこもり」賛成派です!
まぁ、とにかく、そのころの名残というわけですね。
さて、これで「日にち」の謎が解けたわけですが、
一つ、シンプルな謎が残っています。
それは、「なぜ団子をまくのか?」という謎です。
このことにも、かなり、興味深い話しがあるんです。
近くのおばあちゃんの話しなのですが、
「この団子は「お釈迦様の骨」の象徴」なのだそうです。
たしかに、2月15日は、お釈迦様の亡くなった日ですし、
やっぱり、骨なんですね。
▲団子まきの会場に飾られていた涅槃絵
そういえば、昔、ぼくのばあちゃんが、
小袋の中に「団子まき」の団子を入れたお守りを作ってくれ、
「功徳があるんだよ」と言って、貰った覚えがあります。
お釈迦様の骨や功徳など、色々な意味があるというわけです。
「団子まき」という行事は、
お釈迦様のことなど、直接教えられるわけではありませんが、
知らず知らずのうちに、子どもとお釈迦様とが繋がっている行事なのかもしれませんね。
「教える」のではなく「意味がわからなくても、一緒にその場に居る」
そして、「何となく」、お釈迦様と繋がる。
「理解」するのではなく「感じる」。
そんな日本人の思いが伝わってくる行事ですね。
本当に行事というのは、大切なんだな、と再確認した、そんな「団子まき」でした。
(雪国くらしの手帖その11「団子まき」終わり)
雪国くらしの手帖いままでのタイトル
その1 「えびす講の巻」 2013-11-21更新
その2 「はなちゃん登場の巻」 2013-11-22更新
その3 「ばあちゃんのこうこの巻」 2013-11-23更新
その4 「塩沢宿の巻」 2013-11-27更新
その5 「雪国の過ごし方」 2013-12-22更新
その6 「雪の未来」 2013-12-22更新
その7 「雪国の正月その1」 2014-2-2更新
その8 「雪国の正月その2 どんど焼き」 2014-2-11更新
その9 「雪国の正月その3 鳥追い」 2014-2-15更新
その10「雪国の正月その4 むこ投げ・墨塗り」 2014-3-15更新
その11「団子まきの巻」 2014-3-21更新
その12「野沢菜漬けの巻」 2014-11-11更新
その13「お手玉」 2014-12-31更新
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