別府新聞社は新潟の十日町市という所にあります。

米どころでもあり、豪雪地帯としても知られている新潟十日町。

その十日町にも冬が来ようとしています。

ミカンを食べすぎる冬。

布団から離れられない朝。

スルメをストーブの上で焼くお茶の時間。

そんな雪国のくらしが来ようとしています。

雪国のくらしは不思議で面白いです。

独特の空気感があります。

雪国の人は冬と繋がっていて雪に溶けちゃったんじゃないかと思うほどです。

ここでは江戸時代に発行された「北越雪譜」(これも雪国のくらしについて書いた本)を片手に

そんな雪国のくらしを書いていきます。

(もちろんミカンを食べすぎて手が黄色くなったとかも・・・)





▲ここが新潟県十日町市。




新潟県十日町市

11月12日14時現在の情報 (別府新聞社本社前の情報)

外気温 1.1℃ 積雪量0cm




雪国くらしの手帖 その12

野沢菜漬け


こんにちは。別府倫太郎です。

季節はもう、立冬し、こちら十日町では、最低気温が2℃でした。

「こたつ」もストーブも出したので、いよいよ冬が来る、というような感じですね。

といっても、毎年、毎年、冬の初めのころは「ありとキリギリス」の「キリギリス」では

ないですが、冬のこと、雪のことは、すっかり忘れてしまっていて

雪の降り始めのころは豪雪地とはいえども、交通も少し混乱してしまうのです。

でも、ぼくのばあちゃんとじいちゃんは、そのことを忘れていなく

(ぼくなんかは全然、忘れていたのですが(笑)

「冬支度」を始めました。にんじんを洗って、ワラをかぶせて保存したり、

大根を干し、「こうこ」を漬けたり、漬け菜を洗い、「野沢菜漬け」を作ったり・・・

そういうことをしています。

今日は、その中から「野沢菜漬け」を紹介したいと思います。


さて、この「野沢菜漬け」は、野沢菜漬け用の菜っ葉、

その名も「漬け菜」(そのまま)を育てることから始めます。

9月上旬に種をまき、そして、間引き(いいものだけを残し、いらないものをとる)します。

ちなみに、十日町の方言では「うるのぐ」というそうです。

それで、11月の中旬ころ収穫するそうです。

そして、収穫したら、天日に1時間くらい干し、洗います。

(干して、しなっとさせると、ぱきっと折れなくなる)

洗うところは、漬け菜の根本の奥の奥にある土。

これが結構、重労働で、水も冷たくて、

風も冷たくて、大変。

しかし、ばあちゃんは、もくもくと洗い、次の作業に移ります。

さて、次の作業は、もちろん漬けること。

まずは、スーパーで買った「マルコの野沢菜漬けの素」を使い、漬けていきます。





この「マルコ」さんは、夏の茄子漬けのときも使わせてもらっているので、

お世話になっていますね。(笑)

そして、その野沢菜漬けの素と塩をまぜ、これをもとにつけていきます。





それで、場所は漬物の桶があるところに移ります。





バケツに3杯くらいの水を入れ、桶に入れます。

なぜ、そんなことをするのかというと、

「水が上がらないから」なんですよね。

野菜というのは、重石をのせると水が出て、

上までまわり、しなっとダメにならないのですが

漬け菜はすこし、水が出る量が少ないので、

水を入れるそうなんです。

これもかなりの知恵ですよね。

それで、先程の野沢菜漬けの素をまき、

「漬け菜」を入れます。









そして、また「漬け菜」を入れ、野沢菜漬けの素をまく。

それをずっと繰り返すのです。







さて、この漬け菜の量は、均等にしなければいけないのですが

それをやっているのがアナログな、はかり。

ちょうどいいと真ん中になり、多すぎると上になり、少ないと下になるのです。

感覚的な数学ってあるんだ、と思いワクワクする僕なのでした。





さて、肝心の漬物ですが、だんだんとつみあがってきて、

きつきつになってきました。

そこをなんとか、ばあちゃんが、ぎゅっと押し、ぎゅっと押し・・・

しかし、どうしても、ぎゅっと押すと、真ん中がたるみますよね。

そんなときは、ばあちゃんにおまかせあれ!

ここになんと、漬け菜の葉っぱを敷きつけ平らにするのです。

いい知恵ですよね。







それで、野沢菜漬けが完成するのです。

さいごに「ギャートルズ」(原始時代を舞台にしたまんが)のお金のような

石を重石として載せ1か月後に食べられるようになるのです。







これで、今年の野沢菜漬けも美味しく食べられそうですね!

また、僕は「冬の支度」ではなく「冬の楽しみ」が増えました。(笑)

それでは、僕はゆっくりと楽しむことにして、終わりたいと思います。





(雪国くらしの手帖その12「野沢菜漬けの巻」終わり)



雪国くらしの手帖いままでのタイトル

その1 「えびす講の巻」 2013-11-21更新

その2 「はなちゃん登場の巻」 2013-11-22更新

その3 「ばあちゃんのこうこの巻」 2013-11-23更新

その4 「塩沢宿の巻」 2013-11-27更新

その5 「雪国の過ごし方」 2013-12-22更新

その6 「雪の未来」 2013-12-22更新

その7 「雪国の正月その1」 2014-2-2更新

その8 「雪国の正月その2 どんど焼き」 2014-2-11更新

その9 「雪国の正月その3 鳥追い」 2014-2-15更新

その10「雪国の正月その4 むこ投げ・墨塗り」 2014-3-15更新

その11「団子まきの巻」 2014-3-21更新

その12「野沢菜漬けの巻」 2014-11-11更新

その13「お手玉」 2014-12-31更新


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