「かっこいい人たち」は、だれにでも「かっこいい」と思われる人じゃない。

ポレポレと話しを聞ける人。(ポレポレはスワヒリ語で「ゆっくり」)

自分の中に「見る」目をもっている人。

それが、その人の奥深くにある「かっこいい」ということ。

この「かっこいい人たち」では僕、別府倫太郎(通称ポレポレぼうや)が

「かっこいい人たち」を取材し僕の「目線」でお伝えします。










eboard代表

中村孝一さんプロフィール


大学卒業後、外資系コンサルティング会社に就職。

大学時代から関わってきた教育分野を志し退職するも、

もっとオープンな学習環境をつくろうと、「eboard」をたちあげる。

サイト開発、プロジェクト推進を行う傍ら、

これまでに「eboard」を中心に1200本以上の

映像授業を制作している。











プロローグ「僕とeboard」

文章 別府倫太郎



独特な関西弁の解説。

そして、人の温かさが、感じられるような、分かりやすい教えかた。

そんな、学びの場が、ネット上にあります。 その名は「eboard」。

今回、取材をする、中村さんが運営しています。 じつは、僕もeboardのユーザー。

そして、ご存じかも知れませんが、僕(ポレポレぼうや)は、

学校に「行かない」という選択をしています。

世間でいう「不登校」ってやつですね。

だけど、ぼくの場合は、学校が、イヤなだけで、 色々なことを知るのが、イヤなわけじゃない。

(勉強はイヤだけどね。)

逆に色々なことを知りたいと思っている。 だから、別府新聞をやっているわけ。

そして、もう一つ「知りたい」という気持ちを

受け止めてくれる場がある。

それが「eboard」なのです。

で、僕がeboardについて、簡単に説明すると

「僕みたいな不登校の子や、色々なことが知りたいけど、

分からないという子に、「動画」というカタチで、学びを伝えている、そんなサイト」

だと思います。(だから、先ほど関西弁と言いました)

でも、説明するよりもeboardのサイトにアクセスしてください。

一瞬で、eboardのファンになると思いますよ。(笑)




▲eboardの様子


後、最初の質問から出る「モモ」というのは、

ミヒャエル・エンデという方が書いた児童文学です。

じつは、中村さんから「モモ」をもらったのですが、

読んでみたら、もう、すごくて、一気に読んでしまいました。

「モモ」のテーマともいえる「お金と時間」。 このことについて、考えさせられる本です。

児童文学ですが、大人のひとにオススメです。

「モモ」を読んで、子どものころ、

考えていた疑問を思い出してください。

ちなみに、「モモ」について書いてある大好きなサイトがあるので、

下記にURLを貼らせていただきます。

では、中村さんの「かっこいい人たち」お楽しみください。



モモについて述べている、僕が大好きなサイト

松岡正剛の「千夜千冊」1377夜 「モモ」

http://1000ya.isis.ne.jp/1377.html





「自分の時間の使いかた」



僕の質問・疑問

「かっこいい人たち」の取材、よろしくお願いします。

まず、最初に聞きたいことは、中村さんから、貰った本「モモ」のことです。

僕は、「モモ」の主人公が、まわりの人たちの悩みを「聞く」というだけで

悩んでいた気持ちが、晴れ晴れした気持ちになる、という場面に感銘を受けたのですが、

中村さんは、「モモ」を読んでどういうふうに感じましたか?

そして、「モモ」のどういうところが好きですか?






中村さんの答え

小さいときに、始めて読んだときは普通に面白かった。

でも、改めて大人になって読むと、また違うふうに感じたんです。


例えば、あるファーストフード店にバイトで勤めているとする。

で、給料が一時間800円。

そこで、一日(24時間)ずっと働いたら、いくら貰えるだろう?

24×800で19200円。

安いかな?高いかな?

そして、その19200円あったら何をするだろう?

まぁ例え話しなので、食料品でも何でもいいのだけど、ゲームを買ったとする。

でも、ゲームを買うために働いた24時間はとられちゃってるよね。

普通は、24時間は働いていないけど、一日、8時間くらい働いている。

で、その8時間で、何をしているかというと、

「時間」で「お金」を買っているんじゃないかと。

これってどう思う?


お金持ちになれるけど、たくさん自分の時間が無くなっちゃうのと、

貧乏だけど、自分の時間がたくさんある方がいいか。

(皆さんも考えて下さい)


僕の質問・疑問

自分の時間がたくさんあった方がいいでしょ。

でも、生きていくためには食べなきゃいけないし・・・


中村さんの答え

そう。バランスが難しいよね。

僕は大人になってモモを読んだとき、そう考えた。

そして、僕はあんまり、たくさん儲けるよりも自分の好きなことに使いたい。

イーボードの動画を作ったり、色々な話をしたり、遊んだり。

ま、こんなふうに、僕は「モモ」を読んで「考え」たんだよね。

そこが好きなところ、かな。


僕の質問・疑問

話しを聞いていて「自分の時間」というのが、気になったのですが

その「自分の時間」つまり、人生とか、時間とかの話しをもう少し聞きたいです。




なるほど。では、もう少し話させてもらいます。

そこで、いきなりだけど、自分の大切なものってある?



僕 自分の考えとか。



中村さんの答え

深いねぇ〜(笑)

ちなみに、僕は、「家族」と「子ども」。

実は僕、すっごい子どもが、好きなんです。

かゆくてしょうがないの。


僕 かゆい?(僕には「かゆい」と聞こえました)


中村さんの答え

「かゆい」じゃなくて「かわゆい」だよ。(笑)

かゆかったら困るわ。(笑)



「かゆい」を聞く(クリックして再生)



さて、本題に戻すけど、

「自分の時間」をどうやって人生のなかで、どう使おうかなと考えたわけ。

そこで思ったのが、「大切なもの」のために時間を使いたい、ということ。

家族のためとか、新しいことを知るのも好きだし、それを伝えることも好きだし、

さっき言った通り、子どもも好きだし。

そういうことに時間を使いたい、と思ったんです。

簡単な話し。

今の僕が、やっていることも「やりたいから、やっている」。

ただそれだけのこと。



「もっともっと面白く」



僕の質問・疑問

先ほど、中村さんの「自分の時間」の使い方を聞いて、

イーボードのことを思い浮かべました。

イーボードも、やりたいから、好きだから、やっているのですか?




中村さんの答え

そう。

例えば、僕が「モモ」を読んで、色々なことを考えたのと同じで、

イーボードを見て、「どうなっているんだ?」とか「かっこいいなぁ」とか思って、

このこと、もうちょっと知りたいとなったら、もっと面白くなるよね。

それで、色々なことがわかって色々な世界が広がって、

色々なところに行って見たり、色んな人に会いたくなる。

それを自分が好きな子どもにしてほしいし、

そういう世の中が見たいから、する。

まぁ、お金の面では、ちょっと困るけどね・・・(笑)


僕の質問・疑問

そもそも、イーボードを始めたきっかけは、何ですか?



中村さんの答え

大学生のときに、塾とかで、勉強を教えていたのね。

で、苦手な子は、なかなか、勉強ができない。

色々なことが、知りたいのに「勉強、嫌や」となってしまう。

後、勉強は、できるけど、単純に良い大学に行くためとか、

良い高校に行くためとか、そのためだけに勉強してる子もいる。

でも、そうじゃなくて、

ただ単に「面白いなあ」と思って、そのまま勉強していくと

高校になっても、大学になっても、大人になっても、

色々なことが、たくさん学べるよね。

だから、新しいことを知る事を小さい頃に、諦めてしまうのは、

もったいないなと思うし、それは、嫌やと。

で、それをどうにかしたいなぁ、と大学生の時、思い始めた。

それが、きっかけかな。


僕の質問・疑問

じゃあ、イーボードの目的は、同級生に追いつくためとか、そういうのじゃなくて、

自分のやりたいこと、好きなことをやるための手段として、やるということですか?




中村さんの答え

だって、みんなと同じことをやったって、面白くないやろ。(笑)

それだったら、多分、時給800円の仕事(先ほど話した)になると思う。

色々なことを知ることは、単純に面白いと思うよ。


僕の質問・疑問

話しが行ったり来たりしますが、

モモを、また読み返したのは、そのころ(大学生)だと聞いたのですが、何故ですか?




中村さんの答え

まず僕は、そのころ大学で、

経済学、つまり「お金の流れ」を勉強していたのね。

そして、勉強しているうちに「経済=お金の流れ」って、

何かおかしくない?と僕は思い始めた。 ま、そんなことを思っていたら、「モモ」の

著者のミヒャエル・エンデさんという方が

そうした「お金のおかしい所」を子ども向けに書いている人だと、誰かから聞いて、

もう一回、「モモ」を読み直してみようと思ったんです。

そしたら、大人になって、色々と考えることがあったわけ。

簡単に言うと、それが読み直す、きっかけかな。







僕の質問・疑問

大学を卒業して、すぐにイーボードを始めたわけではなく、

外資系の会社に勤めていた、と聞きました。

会社を辞めてまでも、なぜ、そこまで、イーボードをやろうと思ったのですか?




中村さんの答え

外資系の会社って、めちゃくちゃ、働くんです。

自分の時間ないくらい。けど、たくさん給料は貰える。

でも、こうやって働くことに、意味はあるのかなぁ、と。

自分のやりたいことがあるなら、失敗しても、そこに「自分の時間」を

使うことをしたいなぁと思って。

ま、そんなことをしている内に、「カーンアカデミー(※)」というのを知ったんですね。

そこで、思ったんです。

こんなふうな(カーンアカデミー)、やり方が、

ぼくの思っている学習の問題の解決になるんじゃないかぁと。

これが、今のイーボードの始まりですね。


※「カーンアカデミー」 ネット上で動画をつかい、勉強を教えているサイト。

「現在は5000本以上の教育ビデオが登録されており、初等教育から大学レベルの講義まで、

物理、数学、生化学から美術史、経済学、ファイナンスまで、

内容は多岐に渡っている。(ウィキペディアより)」



僕の質問・疑問

イーボードは、いつ頃から始めているんですか?



中村さんの答え

イーボードみたいなものは、会社にいた時からしていた。

けど、相当、忙しかったから、あんまり出来なかったけどね。

その後、会社を辞めたあとに、本格的に始めたのは2年前(2012年くらい)。


僕の質問・疑問

結構、最近ですね。びっくりしました。

でも、色々な動画、ありますね。




中村さんの答え

いや、まだ全然、足りません。

色々なことをしたいし、作ってほしいという人もいるからね。


僕の質問・疑問

これから、どんな動画を作っていきたいですか?



中村さんの答え

まず、最初は学校に行ってない子とかのために作っていきたい。

でも、学校と同じようにやるのは、やりたくない。

イーボードでは、ちょっと面白く、一人一人に話しかけるような形で

動画をずっと、作っていきたいと思います。

そして、今後の目標は、高卒認定試験(※)までの動画を作ること。

高卒認定試験って、そこまで難しくない。

で、不登校だけど、自分のことをもっとやりたい子とか、

色々とそういう子がいると思うんです。

そういう子たちって、これからどんどん増えていくと思うし、

増えていった方が良いと思う。

無理に学校に合わせなくて。

そういう子たちに、まずは高卒の資格がないと、大学も受けられないから、

そこをある程度、目印にして動画を作っていくかな。

それが、整ったら、使ってもらう人を増やしていく。

これが、イーボードの今後の目指していくところです。


※「高卒認定試験」

高校を卒業したと同等の資格がもらえる試験。

高校に行ってなくても貰えて、この資格があれば、

大学に入学できる。

ちなみに昔は「大検」と言っていた。




別府倫太郎の「締めくくり」


今回は、不登校のことや、時間とお金のこと、色々と話しました。

そんな中、中村さんが話した


「不登校だけど、自分のことをもっとやりたい子とか、色々とそういう子がいると思うんです。

そういう子たちって、これからどんどん増えていくと思うし、増えていった方が良いと思う。」



というところに一番、「ハッ」とさせられ、

中村さんは、ものすごく「本気」でeboardのことを

考えているんだな、と思った瞬間でもありました。

プロローグでも、話した通り、僕は学校に「行かない」という選択を自らしています。

僕たちが、学校に「行かない」というカタチで色々なことを

伝えるために、危険信号を出しているわけです。

しかし、こういうことに大人たちは気づきません。

ぼくたちの話しを何も「聞かない」で「学校に行かないとダメ」とか言うのです。

「ダメ・良い」とかは、別にして「上っ面」でしか

考えていないでしょう、と思います。

僕たちには、そういった「上っ面」で考えている人を

見ると、すぐそうだと分かってしまう。

だけど、中村さんの話しを聞いて、この人は「本気」で考えてくれているんだな、と

ひしひしと感じたのです。本当に嬉しいことでした。

そして、今回、会ったときも話しながら、

色々と考えていてくれたんだな、と思います。

つまり、中村さんと一緒に「考える時間」を過ごせたのです。

一緒に考え、一緒に行動する。

そういう、中村さんの姿勢はeboardの

「一人一人に話しかけるようにやりたい」という

思いにもあらわれていると思います。

僕も話していて、もっと中村さんと考えたいと思ったし、

もっともっと、「本気」で考えてくれる人が増えていったら良いなと思います。

そして、少しでも「かっこいい人たち」が、きっかけで

僕たちのことを考えてくれれば、こんなに嬉しいことはないです。

そんなこんなで、これからも「別府新聞」をよろしくお願いします。

そして、中村さん、本当にありがとうございました。





P.S

「かっこいい人たち」の取材で、お会いしたときのことを

eboardの公式ブログ「イボログ」にて、中村さんが僕のことを書いてくれました。

ぜひ、読んでください。

イボログ「倫太郎を訪ねて」



(第二回「自分の時間の使いかた」終わり)












作者

別府倫太郎 プロフィール




2002年12月5日生まれ。

新潟県十日町市在住。

3年前から始めた「別府新聞」の社長でもあり、

別府新聞のたった一人の社員でもある。

「学校に行っていない思想家」「ポレポレぼうや」など

色々な呼び名がある。










かっこいい人たち いままでのタイトル

第一回 「聞くということ」 2014-1-10更新

第二回 「自分の時間の使いかた」 2014-2-8更新

第三回 「まなざしの声」 2014-3-6更新

第四回 「かっこいいということ」 2014-5-23更新

第五回 「大切にしてくれるもの」 2014-8-30更新




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