ジャズのサックス・フルート・バスクラリネット奏者である、

エリックドルフィーというひとが、のこした言葉があります。

それは、「音楽は終わると、空中に消えてしまう。もう一度、とり戻すことはできない」という言葉。

このコーナーでは、その「空中にきえた音楽」をジャズが好きな

別府新聞社長、別府倫太郎が探っていきたいと思います。






第二回 ほんとうの「愛」

ほんとうの「応え」




ビルエヴァンス プロフィール


ジャズピアニスト。

とにかく、ピアノがうまい。

80年9月15日に死去する直前までステージに立った。

生年月日: 、1929年8月16日

生まれ: アメリカ合衆国 ニュージャージー州プレインフィールド

死没:1980年9月15日 




今日の一枚

「Waltz For Debby」

ビル・エヴァンス


姪のデビィに捧げられたレコード。

聞きやすいし、心にしみてくるので、

今も色々な人を救い、楽しませている。







「苦しみの中から」



タンタン、タンタンタン、という音が聞こえてくる、

リズムが聞こえてくる。

僕が今、聞いているのは、ビル・エヴァンス

「ワルツ・フォーデビー」だ。



この曲は、いくらでも、聞けて、いつでも、心にしみてくる。

僕の心に、いつでも「応え」てくれるのだ。

そして、僕のJAZZ友達も、

「精神的に病んだりしたひとに絶対いい」と言っている。

それは、いつでも、どんなことでも、「応え」てくれるからだ。

「あなたは大事だよ」、「あなたに意味はある」という

「愛」が伝ってくる、もしくは「応え」てくれる。

まぁ、ちょっとおおげさかもしれないが、

僕は、そういうふうに感じた。

いや、そういうふうにしか、感じられなかった。

本当にそうだと思うのだ。

でも、このビル・エヴァンス、ウィキペディアに

「1970年代後半のエヴァンスは長年の麻薬常用の影響で、

既に健康を大きく損なっていた」と書いてあった。

きっと、どこかに苦しみがあったのかもしれない。

でも、僕は、大好きだ。

苦しみのなかでしか、救えない、苦しみがあるからだ。

それが、苦しみ、なのだ。

ぼくは、そういうふうに感じてきた。

しかし、「苦しみ」のことで注意してもらいたい点がある。

それは、例えば病気のことだとすると、

「当事者しかわからない」とよく言っているが、それは、違うと思う。

「苦しみ」といのは、当事者とか、そういうのは、関係ない。

もう、本当の「苦しみ」をわかるひとというのは、

それとは、次元が違うからだ。

もちろん、病気になったこともない、トラブルもない、(一見だけど)

という人もそういう人になれる。

それは、だれでも、人は、

「苦しみ」をもっているからだ。

「空しさ」をもっているからだ。

「孤独」をもっているからだ。

それに、「気づく」か「気づかない」か。

僕は、それのことを言っているのだ。

でも、僕はこういいながらも、

「苦しみ」のことで「気づいて」いないと思う。

だけど、1人だけ、それに気づいた人がいる。

それは、「ブッタ」だと思う。

だって、ほんとうの仏教は、

「苦しみがある」というとこから始まっているのだから。

別に仏教に熱心でもないのだけれど、ここはすごいな、と思う。

まぁ、ちょっと話がずれたけれど、

人は、「苦しみ」にたいして、「答え」は見つけられない。

だけど、「応え」ることはできる。

それをした人というのが、「ビル・エヴァンス」、

もしくは、「ワルツ・フォー・デビー」なのだ。

「ビル・エヴァンス」が、苦しみに「応え」てくれることで、

苦しみから、本当の「愛」を見出すことができるのだ。

僕にとって、「ワルツ・フォー・デビー」、「ビル・エヴァンス」は

そういう人だったのだ。


別府倫太郎


(終わり)



空中に消えた音楽 いままでのタイトル

その1「不調和ということ」 2014-6-22更新


その2「ほんとうの「愛」ほんとうの「応え」 2014-8-3更新


その3「そのままのシナトラ」 2014-1-12更新


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